アン・ラモット ひとつずつ、ひとつずつ

この本は、作家としての苦悩や執筆プロセスについて語ってあり、読者にアドバイスを与える内容となっています。この本は多くの人々に愛され、特に執筆に悩む人々にとっては、とても勇気をもらえる内容となっています。

著者の書き方講座に来ている生徒とのやりとりが書いてあったりと、実体験が入り混じった物語風の内容です。手っ取り早いハウツー本じゃない応援歌のような本を読みたい方にとてもおすすめの本です。
私も書くのが捗らなくなった時に、何度も読み直しています。

ひとつずつ、ひとつずつ

「書く」ことで人は癒される


アン・ラモット

作者

アン・ラモットAnne Lamottは、アメリカの作家です。1954年にカリフォルニア州生まれで、父親は作家であったことから、彼女も幼少期から執筆に興味を持ちました。

他の代表的な作品には「Rosie」、「Thoughts on Faith」、「All New People」などがあります。彼女の作品は、普遍的なテーマを扱っており、深い洞察力とユーモアが特徴的です。

「 ひとつずつ、ひとつずつ」は、自身が長年にわたって培ってきたライティングのスキルや哲学、そして苦労や失敗談などを通じて、創作のプロセスにおいて直面するさまざまな困難に対処する方法を提案しています。

一つずつ、一語一語書いていけばいい

彼女が子供の頃、兄が鳥のことを調べる宿題が三カ月も前から出ていたのに、提出日の前日に大慌てでやり出すのですが、鳥の図鑑を前にパニックになっていたところ、父親が次のように励まします。

「ひとつずつ、ひとつずつ片づけていくんだよ。最初から、一羽ずつね」

ひとつずつ、ひとつずつ

このエピソードは彼女のお気に入りで、自分のライティング講座に来ている生徒に向かって語ります。ものを書くということは、1度に大きな作品を完成させるよりも、ひとつずつ、少しずつコツコツと積み上げていくものだといいます。焦りは禁物だと。

ヘタクソな第一稿

一流作家だってみんな、お粗末な第一稿を書く。

ひとつずつ、ひとつずつ

彼女は、最初の第一稿が駄作であっても、それを繰り返し修正していくことが大切だと説いています。作品を完璧に仕上げることは不可能であるため、完璧主義に陥ることなく、少しずつ積み上げていくことが大切だということです。

そうすると、まあまあな第二稿も傑作となる第三稿も生まれる可能性が出てくると。

ライティングは、自分と向き合うことでもある

初心者の妄想として、売れっ子作家はじゃんじゃんバリバリに書くことができ、スラスラ話すように話がかけると思いがちであると彼女はいいます。でも、実際はそうではなく、ほとんどの作家たちは机に向かって苦労しているといいます。

書くことは自己表現の手段であり、自分自身と向き合うことでもあります。彼女は、書くことを通じて自分自身の内面に向き合い、自己成長を促すことができると語っています。

作家はみな、書くときに歯を抜くのと同じくらい嫌な気分を味わっている。

ひとつずつ、ひとつずつ

繰り返すことで習慣になり、自分の声となる

書くことを習慣化することは、自分自身の声を見つけるための重要なステップです。これなしには各子ができません。そして、書くことを習慣化することができればしめたもの。自然な流れで文章を書くことができるようになるといいます。
そして、それは自分自身の声として書いたものであり、より良い作品になり得るということです。

世界に心を開く

作家は自分のキャラクターを読者が気に入って、その世界に入り込んでくれるのを待っているけど、そもそも作家自身が、本当の思いやりを持って自分のことをわかっていないといけないと彼女はいいます。

「自分の精神に敬意を持って、自分の身を世界の中に置き、素直になる」ことが、なければ自分を見つめることもできないし、率直にものを書くことはできない。

作家の仕事は、自分のものの見方、つまり視線をはっきりと示すということ。人間の真の姿を見ること、それも作家のすべき仕事だし、そのためにはできるかぎり思いやりのある態度で、作家自身が本当の自分を理解してやる必要がある。

本書は、創作に取り組む人にとって、心の持ち方としてとても参考になる一冊です。ユーモアあふれる語り口や、深い洞察力が垣間みられます。また、書くことに限らず、人生においても役立つアドバイスが詰まった一冊です。

TEDでも講演

TEDで講演もされています。年齢は気にしない!61歳になる数日前に、自分の確かに知っていることをすべて書き出すことにしました。混乱に満ち、素晴らしく、心を動かされるこの世界に生きる人間であることの機微に飛び込み、彼女一流の人生を肯定する知恵とユーモアで、家族、執筆、神の意味、死などについて語っている、「人生と執筆から学んだ12の真実」です。日本語訳ついているのでぜひ聞いてみてください。
※本「 ひとつずつ、ひとつずつ」の内容というわけではありません。