社会人留学、たったの2ヶ月。そんな短い留学でしたが、帰国したでの頃は「元の生活=日本での生活」に気持ちを切り替えるのが難しかったのを覚えています。
留学はとても楽しいもので終わり、あまりにも名残惜しかったせいかもしれません。と、いっても、「楽しい思い出最高!」みたいな浮かれモードではありませんでした。
まずは身体が慣れない
帰国してすぐ「帰国後のガリバー現象」を体験しました。どういうことかというと、「ガリヴァー旅行記」に出てくるガリバーのように、自分の身体感覚が掴めず、人との距離感がよくわからなくなっていました。
特に道を歩く人との距離が全く掴めず、周りの人が迫ってくるのが悪いかのような感覚に陥りました。
「とにかく、道が狭い!」のに人が多くて避けないと歩けない。それがとってもストレスでした。もちろん、今まで当たり前にしていた歩き方なのに、です。
人とすれ違うたびに
「なんでこんなに避けないといけないの?まるでゲームのよう・・・」
「うわ、後ろから人が近づいてくる音がする・・・」
というような感じにイライラしてしまう始末。
満員電車なんてもっての他で、「どうしよう。落ち着こう自分・・・」みたいな調子で数日過ごしました。
まあ、それでも一週間くらいすると大分落ち着いてきたので、人間適応するもんだなと思います。
逆ホームシック
そして、あっさり逆ホームシックにかかりました(笑)
2ヶ月という短い留学だったためか、留学先ではちっともホームシックにならなかったのですが、逆に日本に帰ってきて「あっちに戻りたい」という思い出がなかなか消えませんでした。
特に学生であることや、向こうでできた友達と離れることが一番辛かったからかもしれません。
共に勉強してきた仲間と離れることは、単純に別れる寂しさだけではなく、他の皆がこのままどんどん成長していくのに自分はリタイアするような感じで、寂しさに悔しさが入り混じった感じでした。
それに、とにかく英語だけの環境に慣れきっていたのに、その環境がなくなり、羽田から家路までの間、日本語の会話しか聞こえてこないことで、「帰ってきたこと」を実感したと同時に、それはもう悲しかったです。
留学するなら本を書きたいけど…
留学に行く前から記録に残したいとは思いつつも、日記をつけたりブログに書くことはしないようにしていました。
なんでかというと、普段の出来事でさえ長文になりがちな性格で、留学なんてしたら刺激がありすぎて、きっと書きたいことだらけ。延々まとまらない文章で埋め尽くされるのが目に見えていたからです。だから、もし本みたいなのにまとめるなら、後で心に残ったものをぎゅっと濃縮した方が良いかなと思っていました。
そして、留学している間は単純に楽しくて楽しくて、「いつかこの留学を本にしたい。絶対書こう」と胸がいっぱいでした。
ところが、帰ってきたら前述した逆ホームシックのせいですぐにはそんなやる気はでませんでした。
それに、「たった2ヶ月の留学で何か変わったのか?」と改めて考えてみると、自分が何を得たかはっきり言葉にすることができないと思い始めました。
でも体験を共有したい
そしていつしか本を書くことは、「もしできたらいいな」くらいの柔らかい希望に代わり、どうやって伝えたらいいんだろうと思いつつ、結局「留学体験記なんて世に溢れている」と、その情熱は日常に追われるごとに段々と減っていきました。
ただ、いつか本を書こうとという気持ちよりも、体験したことを誰かと共有したい気持ちは常にありました。
「留学楽しかったよー」と友達に伝えても、「ふーん、よかったね楽しくて」みたいな会話で終わるのも寂しいし、
自分の中にはたしかに「変化」があったのは事実だけど、言葉で伝えることができず、ブログに書くこともしませんでした。その後は職探しや新しい仕事を覚えたりと忙しく、本を描きたい情熱は消えていきました。
それでも時々ふっと、
「カナダ生活、楽しかったな。あの子達元気かなぁ。バリバリ働いているのかな」とか、「やっぱり留学してみて良かったなぁ」としみじみ思ったりして、その度に当時の感情が戻ってくることがありました。
そして、数年に渡りそれらをメモに書き留める度に「やっぱり誰かに伝えたい」という気持ちが強くなっていき、それが「いつかきっと本にする」に変わりました。
8年後にしてやっと留学前からの記憶を辿り、当時の自分の気持ちを思い出しては書くということを始めました。書いている間は、もう一度留学をしているようでとても楽しかったです。
翌年書き終えたことでやっと、短くて長い留学が本当に終わった気がしました。
たった短い期間だったのに何年経っても心に残る経験になったんだなと、お金をかけてまでやってみて良かったなと思います。
どんな風に楽しかったのかもし興味がある方は、「準備から帰国まで」を自分の感情を中心に書いた本で一緒に追体験をお楽しみいただけるととても嬉しいです。amazonで準備編の途中までは試し読みができます。

社会人になってから、ふと気づいた「留学してみたい」という気持ち。
行こうと決心するまでの気持ちや準備を含め、実現した2ヶ月間のカナダ短期留学の記録を、日記のようなエッセイにまとめました。
現地での暮らしを通して考えたことや小さな発見まで、ありのままの体験を詰め込んでいます。
留学ってこんな感じかも?と楽しんでいただけたら嬉しいです。
本の長さ : 391ページ
amazonで準備編の途中までは試し読みができます。