WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方 の感想

ストレス脳」という本を読んだ後に、amazonの関連本で出てきたこの本「WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方」は、作者の「左脳が使えない状態での経験」から分かった「脳の動かし方」が書かれているということで興味を持ち、読んでみました。

※24/2月いっぱいまでは、オーディブル(音声の本)で無料で聴けますよ。
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著者

ジル・ボルト・テイラー Jill Bolte Taylor
神経解剖学者。37歳で脳出血により左脳の機能をすべて失うという体験をすることで、この本の執筆につながりました。前作の体験記「奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき」(新潮社)にその内容が綴られています。

TEDでの講演 (2008年)

TED(世界中の著名人がプレゼンを行う場)の講演で、「脳科学者なら願ってもない研究の機会を得ました」と、自分の脳の機能が1つひとつ活動を停止していくのを観察することになってしまう体験を語ったのです。

この講演はもちろん本もベストセラーとなりました。動画の再生回数はすでに2850万回以上、伝説の講演となっています。私もちょうど英語の勉強でTEDをチョコチョコ見ていた時があり、「あ、この人か。見たことある」と気づいたほどです。

この本「WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方」は実践編とも言える2冊目の本となります。

4つのキャラ 

本の大筋が著者が考える4つのキャラの説明と、それら同士の対話の仕方になります。

この4つのキャラが読んでいて少し分かりづらいので、これについていけない場合、読むのを挫折してしまいそうになるかもしれません。私は5回ほど飛ばして戻るという感じになりました。

「4つのキャラ」というのは、文中に出てくるMBTI性格診断(マイヤーズ゠ブリッグス性格診断テスト Myers-Briggs Type Indicator 性格を16タイプに分類するもの)のような、はっきり個人を「〇〇タイプ」と分けるものではありません。

マイヤーズ゠ブリッグス性格診断テストは、さまざまな人生のシナリオに対応しておらず、私をたったひとつの性格の型にはめようとしたので、私はこの評価の精度に疑問を感じました。

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方

人の性格を限定するものではなく、あくまでも各個人に4つのタイプの脳があるという内容です。

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方 4つのキャラ
4つのキャラ WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方

左脳 キャラ1、キャラ2
右脳 キャラ4、キャラ3

分かりづらく読みにくい箇所

キャラを説明するのに数字が使われているところが私には混乱させる要素になりました。もちろん、著者は「あえて意味を持たせないよう」に数字を使っているのであろうと考えられます。
性格診断のように型にはめたくなかったのでしょう。

それはわかっていながらも、上記の絵がないと、文章で「4が〜、3が登場し、2が〜」のような記載があると、読むのにかなり疲れてしまい、途中飛ばして読んで後に戻るという読み方になりました。実際なんども読むのをやめようかと思ったほどです。

しかも、次のようにある人はそのキャラしか持っておらず、そういうタイプの人がいるかのような断定しているようにみえる記載があります。

〈キャラ1〉の人は仕事面でも社会面でも、ほかの〈キャラ1〉の人たちと群れることを好む傾向があります。

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方

しかし、本を全部読んでいると分かりますが、他の箇所にでてくる「キャラ1がメインの人」か、その時たまたま「キャラ1が優位になっている状態」の人だと分かります。

毎度その回りくどい説明が書いてあればいいのですが、「キャラ◯」の人という限定した響きがちょっと誤解を招く気がして、ちょっとモヤモヤしてしまいました。

あくまでも著者が最終的に薦めているのは、自分の他のキャラである「キャラ2」や「キャラ3」、「キャラ4」と一緒に平等に対話し、納得のいく解釈に導く訓練をする必要があるといっています。

心の平安のためには、「四つのキャラ」全員に耳を傾け、尊重し、評価する必要があります。

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方

私の読み方が悪いのかもしれないのですが、そこらへんの表現がちょっと読みづらかったです。

それでも、何度か間違った解釈をしないような文が差し込まれています。
下の引用文であれば、「優位」という言葉を使い、どのキャラも自分が持っているということが分かります。

4つのキャラが円陣を組む

私たちの脳は、感情、思考、行動までもが、「たんに回路のなかではたらく細胞群にすぎないんだ」ということに気づけると著者はいいます。実際本を読んでいくと、そのように思えてきます。左脳と右脳の両方に感じる脳があり(キャラ2と3)それをもとに思考する脳(キャラ1と4)が働くことができるからです。

楽しい気分になるように、惨めな気分になるようにシステム化されていて、そのどの回路にエネルギーを集中して走らせたいか、どのくらいの期間走らせたいか(90秒待てばその回路が停止する)、そしてそれについてどう感じるかを自由に選べるようになると、心に落ち着きがでて人間関係がよりよくなると著者はいっています。

そして、それぞれのユニークさが多様性を生み、それが人間社会の強みになっているということです。

ここではっきり言っておきます。「四つのキャラ」のうちのどれが優位に立っていようと、私たちはみな一人ひとり違っていて、その多様性が私たちの強みなのです。

WHOLE BRAIN(ホール・ブレイン) 心が軽くなる「脳」の動かし方

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